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パラフィンブロック薄切時の加湿(息かけ、ミスト)効果

薄切

Q

薄切時、パラフィンブロックへの息かけの効果を教えてください。

A

①作用因子
息かけによるブロックへの作用因子は、呼気によるa:水分、b:加温、c:空気の動きが考えられます。a~cの作用因子と切片取得の関係について検証した結果を示します。
「ミスト」を使用して薄切した場合において、ミクロトーム刃への貼り付きや切片のシワがなく、良好な切片取得が可能と判ります。「因子なし」、「温風」、「冷気」の場合は、いずれも良好な切片取得は困難と判ります。従って、息かけによるブロックへの作用因子は、湿度の効果が大きいと推測します。

②湿度により切片取得が容易になる原理
加湿(息かけ、ミスト)により良好な切片取得が可能となるのは、水分子によってミクロトーム刃とブロック間における静電気の帯電が中和されるためと推測します。薄切の際、ミクロトーム刃とブロックとの摩擦による帯電と、切片とブロックとの剥離による帯電が生じます。息かけ「なし」と「あり」における薄切時の帯電量の変化を測定した結果を示します。特に組織ありの切片において、息かけにより帯電量は著しい減少がみられます。

湿度により静電気の帯電が中和される原理は以下のようになります。
1.湿度により切片の表面に水の吸着膜ができる。
2. 水の吸着膜中のH+,OH-およびその他の不純物イオンが吸着膜中を移動して切片上の静電気を中和する。