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カセットの向きと脱水剤の浸透速度

ティシュープロセッシング

Q

カセットの向きにより脱水が完了する時間に差はありますか?

A

脱水剤はエタノールを使用し、カセットの向きを垂直置きと水平置きにおける浸透速度の測定結果を示します※1(グラフ)。
下記条件において、垂直置きの場合には約3.5時間で平衡に達しますが、水平置きの場合には、脱水率が約75%以降は浸透速度が非常に遅く、平衡に達するには数十時間を要すると推察されます。カセット内の組織からアルコール中へと流出する水は、比重の差によりカセット開口部から検体処理槽底部へ向かって下降します。従って、カセット内外の液の流通には開口部における液の上下流が重要です。水平置きの場合、組織のサイズが大きいと開口部を塞ぎ、液の上下流が妨げられるため、水とアルコールの置換効率が悪くなると考えられます。

組織処理条件と浸透速度測定方法
1) 使用組織
臓器の種類:ウシ 肝臓
組織の大きさ:(厚さ)3mm×(縦)20mm×(横)25mm
組織の重量:約1.3g/個
2) 基本的組織処理条件
脱水:エタノール、液温20℃、撹拌(120rpm)、常圧
ティシュー・テックユニカセット使用
3) 脱水速度の測定方法
重量測定

参考文献:※1 岩垂司,北條昭次:カセットに入れた組織の脱水・脱脂,パラフィン浸透における処理条件の検討(その2).病理技術.1983,27:21-23