第17回サクラ病理技術賞 受賞者(2024年度)
奨励賞
和歌山県細胞検査士会
代表者:独立行政法人労働者健康安全機構 和歌山労災病院 中央検査部病理 田中 真理
受賞理由
細胞診の普及や検診率向上、細胞検査士養成に関する地域貢献活動
日本臨床細胞学会和歌山県支部とともに県山間部における子宮がん検診および乳がん検診の啓発活動に積極的に取り組み、早期発見・治療とがん検診の重要性についての認知度向上に貢献している。また、地域医療への貢献を推進するため、和歌山県臨床検査技師会と協力して定期的に講習会を開催するなど、細胞検査士の養成にも力を入れている。さらに、山東医科大学産婦人科学教室との共同事業として中国における婦人科検診および啓発活動を行うなど、細胞診の普及や検診率向上、細胞検査士養成への参画は地域貢献活動のモデルケースとして評価できる。
受賞者コメント
この度は栄えあるサクラ病理技術賞奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。
ご推薦ならびにご選考を賜りました先生方をはじめ、日頃よりご指導を賜っております先生方、和歌山臨床細胞学会、和歌山県臨床検査技師会の皆様、そして日々支えてくださった諸先輩方、会員の皆様に心より御礼申し上げます。
本会は、少人数の県であるがゆえに、古くより細胞検査士養成に力を注ぎ、県山間部および中国山東省における婦人科検診・啓発活動にも積極的に取り組んで参りました。
この受賞を励みに、今後も一層細胞診の普及ならびに後進育成に努め、時代のニーズを捉えた活動を実践して参る所存です。今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
新人賞
小林 剛
公益財団法人 放射線影響研究所 分子生物科学部 分子病理学研究室
受賞理由
病理細胞診研究における新たな取り組み
尿路細胞診におけるバイオマーカーの利活用と診断精度向上、古いホルマリン固定パラフィン包埋検体の品質管理を目的としたプロテオミクス研究など、臨床上有用な研究を行い、それらを積極的に学会での講演や論文として発表している。また国際活動にも積極的に取り組み、日本臨床衛生検査技師会の国際化WGメンバーとして海外技師とのディスカッションや国際学会での発表を行い、第62回大韓臨床病理士協会総合学術大会ではOutstanding Poster Awardを受賞した。広島県での地域貢献にも精力的に取り組んでおり、今後さらなる活躍が期待される人物である。
受賞者コメント
この度「サクラ病理技術賞 新人賞」を賜り、大変光栄に存じます。これまで支えてくださった多くの方々のご指導・ご鞭撻のおかげと、あらためて深く感謝申し上げます。病理業務や研究活動等を通じ、数えきれないほどのご縁に恵まれていることを実感しています。
現在進めているFFPE検体を用いたオミックス解析は、独自に確立したプロトコールにより、FFPEからの網羅的な蛋白質解析を可能にしたものです。FFPEからバイオマーカーの同定も目指すことができ、今後のさらなる発展が期待される分野だと考えています。
私は、現場を熟知する臨床検査技師だからこそ実現できる病理学研究があると信じています。今回の受賞を励みに、これからも新たな挑戦を続け、病理技術の発展に微力ながら貢献したい所存です。