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迅速免疫染色に用いる自動染色装置「ヒスト・テック® ラピート® Auto」を発売

術中迅速病理診断の精度向上のためのソリューションを提供
迅速免疫染色に用いる自動染色装置「ヒスト・テック® ラピート® Auto」を発売

病理検査機器・器材のトータルサプライヤー、サクラファインテックジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長兼CEO:石塚悟)は、自動染色装置「ヒスト・テック® ラピート® Auto(以下、ラピートAuto)」を4月15日に発売いたします。ラピートAutoは、秋田エプソン株式会社(本社:秋田県湯沢市、代表取締役社長:遠藤正敏)との共同開発で、製造も同社が行います。

ラピートAutoは、2014年に当社が発売した電界撹拌染色装置「ヒスト・テック® R-IHC®(愛称:ラピート)」の後継機となる自動染色装置です。ラピートと同様、秋田県産業技術センターと秋田大学医学部が開発した電界撹拌技術※1を、術中迅速病理診断に用いる医療機器に応用したものです。

術中迅速病理診断とは、がんの外科手術中に、腫瘍の良・悪性の判断や病変部が完全に取り除かれたかどうか、転移がないか等を診断するものです。切除した組織を急速に凍結して固め、薄くスライスした病理標本を作製し、HE染色※2したものを病理医が顕微鏡で観察して診断を行いますが、手術中という限られた時間内に早く正確な診断を行うことが求められます。

この電界撹拌技術により、ラピートは免疫組織化学染色※2の処理時間の短縮(150分から30分)を実現しました。さらにラピートAutoでは染色プロセスを自動化し、作業工数削減や負担軽減に貢献します。ラピートAutoの活用により、HE染色による形態学的情報に加え、免疫組織染色による機能的情報も得ることで術中迅速病理診断の精度向上が期待でき、再手術の回避や早期診断・治療は患者さまの負担軽減にもつながります。具体的には、脳腫瘍の悪性度診断・鑑別診断(手術・治療等)や、肺腫瘍の鑑別診断(原発か転移性か)などの研究が進行しており、臨床における活用が見込まれています。

サクラファインテックジャパンは、 “がん診断を進展させる”というミッションにグローバルで取り組み、世界150ヵ国以上の医療機関や研究機関にソリューションを提供しています。秋田県の医工連携事業の成果により生まれたラピートAutoは、がん診断の進展に大きく貢献する可能性を持つ製品であり、これを全国の病理診断の現場に広め導入することは当社の使命と考え、この医工連携事業に参画しております。なお、本製品は4月14日~16日に開催される「第111回日本病理学会総会」で展示予定です。

サクラファインテックジャパンは病理のトータルソリューションプロバイダーとして、病理標本作製のための最適な製品、試薬、サービスをフルパッケージで提供します。

※1:電界撹拌技術
静置した液を電極ではさみ、低周波の電圧を与えると、水分子そのものが励振されて、スターラー(撹拌機)などの撹拌子に接触させることなく撹拌させる技術。とくにマイクロリットルオーダーの微量な液を均一に撹拌することができます。また、低周波を用いるため、液温が上昇しないという特長があります。

※2:HE染色と免疫組織化学染色
顕微鏡で病理診断を行うには、元来無色の細胞あるいは組織に色彩を施し染色する必要があります。
HE染色は、細胞や組織の構成要素を平均的によく表現できる染色法で、病理組織の一般的な染色として利用されています。ヘマトキシリンとエオジンの2種類の色素を用いて、細胞核を青藍色に、核以外の組織成分を赤色にコントラストよく染め分け形態を観察するための染色法です。
免疫組織化学染色(IHC)は、抗体を用いて組織内の抗原を検出する方法です。抗体の特異性を利用して抗原を検出し、特定の抗原の局在を顕微鏡で観察することができます。臨床では病理診断で用いられている方法で、たんぱく質の発現量などが治療方針の指標となるマーカーについては検査ガイドラインに記載されています。

■商品概要
一般的名称:自動染色装置
販売名:ヒスト・テック® ラピート® Auto
発売日:2022年4月15日
本体寸法:幅560mm×奥行700mm×高さ830mm
本体重量:本体部分 約88kg・コンプレッサー 約8kg
使用目的:術中迅速病理診断における迅速免疫染色(免疫組織化学染色)
発売地域:日本

秋田エプソン株式会社について
秋田エプソン株式会社は、セイコーエプソン株式会社のグループ会社で、腕時計製造で培った省エネルギー・小型化・高精度を実現する「省・小・精の技術」をベースに、インクジェットプリンター用ヘッドおよび    ウエアラブル機器の製造・組み立てに加え、超精密金型設計から製造、自動化ラインの設計開発などで高い評価をいただいています。
本装置の開発・製造には秋田県の産学官連携事業として参加し、さらなる地域の発展と豊かな社会への貢献を目指しています。